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視角50度の都市

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時代劇の楽しみ方の一つでもある
小生が鬼平や秋山小兵衛を好きなのは読者さんの知るところである
どちらも江戸の文化を表現したものである
田沼意次(たぬまおきつぐ)から松平定信(まつだいらさだのぶ)が幕府政治の首班を勤める時代である
もっとも江戸文化の爛熟期と言える時代である
庶民も生き生きしていた
その気になれば庶民も文明文化というものを享受できるのが平和である
そんな時代だと思って見ている
不思議なことはその撮影が京都の撮影所で行われていることだ
京都は時代劇の装置がたくさん残されている

もちろん明治以降の京都は全国のどこよりも時代を先取りするものが多かった
東京は明治以降、明治以降の新しい文化に覆いつくされたのに比して
京都は政権の名目も失うことによってそこで止まってしまったものがある
それは、やはり古典的江戸時代文化なのである
もっと言えば、江戸時代の京都が最も京都らしい時代だったのではないかと思う
その遺産があちこちに残っている
そう考えるべきではないだろうか

ただし・・それはきわめて断片的である
だから、写真や映画のロケに向いているのだろう
大覚寺での時代劇ロケに出くわしたことがある
人間の目に馴染むような描写をするそのカメラの画角は40度から50度位である
カメラの画角はカメラの映る範囲だけが時代劇であった
その角度に主人公や通行人やバックの建物などが上手くはいればいい映像になる
残りの角度がスタッフや見物人やビルや電柱の生臭い現代である
しかもこま切れ映像を繋げて時の流れまで連続して見せてしまう

しかし、人間の眼は首を回せば最大360度である
この頃そう思って時代劇を見れるようになった
今の、京都観光と同じではないか
現実と実生活の中に点在する非現実的な江戸空間を探しているような気がする
それが京都の魅力だと言ってしまえばそれまでだが・・
たった50度の世界に過ぎないとも言えるのではないか
だが皆が同じ50度を見ていたのではいつか京都も飽きられる
再放送ばかりの京都観光になってしまうとすれば哀しいことである
鯵庵(5.30)



by ajiankyoto | 2017-05-30 05:30 | 都市 | Comments(0)