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鐘は音色が大事である/大仏の正面通(続々)

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銘文は文学である
文学であればなんとでも難癖(なんくせ)はつけられる
日本の宗教は国家や権力の後ろ盾がなければ実は宗派を維持できない
当時僧だけが学者なのである
学識経験者として物を言えばいいのなら文学論を語るだけでいい
結局多くの僧が権力に阿(おもね)って競い合って学識を披露することはいつの世でもあり得ることだ
意識しないでも陰謀に加担できる
『天下泰平、君臣豊楽』の銘文はただの名文である
それを事件に出来たのは政治である
政治とは陰謀である
それは秀吉に学んだことだった

しかもこの鐘銘事件そのものは家康の寿命と大きな関係がある
この時初代将軍は隠居して大御所家康73才、大坂の陣(1614・1615)は家康73才・74才
その後慶長19年(1616)、豊臣家を滅ぼす生涯の大事業を果たしてすぐの75才の寿命であった
歴史の中でも英雄譚(えいゆうたん)は生まれた時と寿命によって決まる
信長でも秀吉でもなかった家康は、信長の死後と秀吉の死後と言う大きな人生経験に学んだことだけが違っていた
それが徳川家と言う家が200年以上15代に渡って続いたことになる

家康の人物像はほとんど晩年の特に豊臣家との陰湿な戦いに現れたことになる
徳川幕府は京都も豊臣家も完全に無視した
一つだけ残したのがこの鐘である
今は豊臣家が滅んで400年である
豊臣家の滅亡に関係なく、方広寺の鐘は名鐘(音色)ゆえに銘文を削られることなく重要文化財として今も残っている
残したというべきだろう
なおまた、そんなことに関係なく家康の没後も400年を超えた
鐘は音色が大事である、のは真実だろう
鯵庵(30.1.27)



by ajiankyoto | 2018-01-27 09:22 | 都市 | Comments(0)