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桃の節句は月遅れ

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家内の里の90ん才のばあさんが草餅(くさもち)を送ってきてくれた
今年は3歳の曾孫のためにである
だが、残念ながらここにはいない
幼稚園の入園祝の交々と一緒にこちらから宅急便で送った
3月3日の上巳の節句を里ではを月遅れで行う
清明(せいめい)の頃である・・桃が咲くのがちょうどそのころで、ヨモギもツクシも摘むのに丁度いい
しかも、主役の子供たちは春休みの最中である
4月3日の節句は田舎では「草餅の節句」とも言われるぐらい草餅がつきものである

草餅は昔はハハコグサだったとあるが、今はほぼヨモギである
ヨモギは薬草の山伊吹山で有名である
漢方の生薬であるし、もぐさの材料でもあるということで、色だけでなく、邪気を払うために餅にも入れた
草餅もいろんな食べ方がある
子供にあんころ餅、大人は焼いてお湯につけてきな粉をまぶして食うというのもあった
里のばあさんはまだ餡を炊ける

街中にある丹波屋でもいつでも草餅も売っている、結構うまい
京都桂橋のたもとの有名和菓子屋のよもぎあんころは、やわらかいよもぎ餅を粒餡で包んでいる
こうすると高級和菓子になるから不思議だ
高級感が一杯になると餅をついたことのない世代がいつも行列している
それはそれでいい・・

自然のものと一緒に暮らすのは鄙(ひな)の暮らしである
ヨモギを摘んで、臼で餅を搗くこと自体が邪気を払うのである
都市では何でも得られる
食生活が豊かになってきたのはいいとしても、食い物に祈りを託すことは出来なくなってきた
子供に節句のよもぎ餅を食わしてやろうという気持ちは我々の世代が壊してしまったのかもしれない
子供にも大人にも一番おいしいのは愛と祈りをつき込んだ餅に限る・・筈だ
鯵庵(4.2)

by ajiankyoto | 2017-04-02 08:59 | | Comments(0)