二代目中村又五郎/剣客商売

最初は嵯峨の奥の広沢の池のほとりにセットが建っていたらしい
そこから少し奥へ進むと大覚寺がある
この大覚寺の大沢の池に百姓家が建つと撮影が始まる
池波正太郎のもう一つのシリーズが「剣客商売」である
鬼平にしろ剣客商売にしろあの江戸情緒が京都でしか撮れないのも不思議なものである

剣客商売は愛読書でもあるが、テレビも好きである
主人公は秋山小兵衛という小柄な老人
特に二代目又五郎(1914-2009)の演じる秋山小兵衛(昭57年(1982)放送)が好きである
脇役ながらも鬼平シリーズでもいい役をしている
二面性のある悪役をさせればきっちりはまる
秋山小兵衛は見るからに弱弱しい外見の老剣客である
この時代(設定は田沼時代)に剣客であるだけを売りにしているわけである
この秋山小兵衛、枯れた風貌ながら、憎いことにおはると言う若い百姓娘を可愛がって隠居暮らしをしている、その味がこのドラマのポイントである

読者は、北大路欣也やあるいは藤田まことをイメージするかもしれない
それはそれで味がある配役であるが、原作とのギャップが大きい
北大路欣也や藤田まことでは大柄すぎるし、いかにも強そうだ、しかも精力絶倫と言うイメージが拭えない、豪傑なってしまう
特に北大路の風貌はいまや父親市川歌右衛門である、貫禄がありすぎて(肥えすぎて)役の幅を超えている、いいものを食いすぎたイメージは小兵衛とは逆である
小説ながら秋山小兵衛は生死の境を越えてきた、清濁などいとも容易く併せ呑める器量である、それが枯れかけた小柄な体の中に凝縮された剣客でなければならない
作者は二代目又五郎のイメージをモデルに凄い技を持った人間が枯れると言う到達点を書きたかった
剣客商売と言うテレビ時代劇は、二代目中村又五郎という旨(うま)みで食するものである、そうでないと池波小説でなくなる
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写真は鬼平犯科帳「寒月六間堀」の市口瀬兵衛役の又五郎、平成9年頃鬼平最後の出演か?*テレビ再放送画面から
歌舞伎役者二代目中村又五郎は吉右衛門と同じ播磨屋一門、テレビで初めて秋山小兵衛を演じた時は60代後半の頃、数年前に94歳で亡くなられた
昭和の役者でもある、生前は人間国宝でもあった
再放送でもビデオでも二代目又五郎の秋山小兵衛は見れないのが残念だ
鯵庵(8.9)

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by ajiankyoto | 2016-09-09 08:28 | 翁草 | Comments(0)