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楽園が沈む(五条楽園は休業中?⑵)

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五条楽園(五条橋下・七条新地)のことを以前に少し書いた
秀吉の時代から続いてきた遊所だったのだが・・
何んと平成22年売春防止法違反で京都府警に主だったお茶屋の経営者が逮捕摘発された
それ以来、ネオンも外して一斉休業のままである
当時大きなお茶屋だけでも十数軒あった、町の人が消え火が消えた
高瀬川も、明らかに二条から五条までの姿とは違う
五条から南、過去の遊所を流れる高瀬川は同じ歴史を持ちながら五条通を境にごろっと変わる
ここは源氏物語の光源氏のモデルだとされる嵯峨源氏の源融(みなもとのとおる)の広大な屋敷河原院の跡である
それでもあれほど観光に手を尽くす京都市の手も入らない

京都の遊郭は明治になって島原が衰退し、売春防止法で五番街が廃業した
時代の中で残った遊所が京都の五花街として芸妓の伝統と京都観光も支えている
だがしかし五条楽園はスマートに変身した五花街にない大正・昭和のロマンを感じさせる遊所独特の建物が今まだ残っている
風呂屋も商店もある、マンションもあれば旅館の営業をしているところもあるし、サラリーマン家庭もあるしもちろん学校に通うこどもたちもいるのは当然である
大きなお茶屋だったところの二階の簾(すだれ)も傷んだままになっているのを除けば一般の住宅街と変わらない

ただ、街そのものは活気もなく閉鎖的な地域として沈んでしまっている
遊郭はずっと職住近接・職住一体の町だったのである
小生風に言えば、職住一体の職をとってしまって住だけになったら暮らしも成り立たないということである
正面通にあった山内任天堂は世界的企業になったが今は十条通りに本社を構えている
五条楽園の歌舞練場だった五条会館は大勢の人が集まることは今となっては消防も許してくれないだろう
五条通近くにあったラーメン屋は今もやっているだろうか
経済活動のない街になってしまうのだろうか
もちろん放蕩や浪費は美徳ではないけれど・・
有形文化財に指定して保存なんてことは所詮他人事だ
お茶屋の建物もそのままだけど、いずれ朽ちていくのを待つだけでは辛い

景観と活性化は二つのキーワードだろう
京都のある大学のチームは真剣になって調査している
生活保護所帯の割合が市内の他の地区に比べて著しく高いということを指摘している
五条楽園は五条楽園でなければ生きていけない街だったのだろうか
休業のままではイメージの改善は難しい
未だ市役所もそれからのビジョンを示すことが出来ない
京都のど真ん中京都駅からすぐの街である
隣の四条河原町や宮川町や祇園は京都一の観光地である
五条楽園だけが過去の罪を背負されたのだろうかと思ってしまう
写真は窓
鰺庵(9.26)

by ajiankyoto | 2016-09-26 07:53 | 正面通 | Comments(0)