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若冲は伊藤若冲を知らない

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例によってJR奈良線稲荷駅の改札口は外国人ばかりである
何んとかその波を外れてランプ小屋の前を、石峰寺(せきほうじ)の方に向かう
それにしてもJRは国鉄時代の貴重な遺産(ランプ小屋)に無頓着だ、タバコの吸い殻が散乱する
住宅街の中を通って稲荷山の脇を上がっていく
石峰寺は京都の画人伊藤若冲(いとうじゃくちゅう・1800没)の墓がある寺である

寺の案内書によれば黄檗山萬福寺(※)の住職によって開かれたとある
「若冲の五百羅漢」が知られている
山の中に釈迦の誕生から入滅までを釈迦の教えにとともに数百の聖者たちの姿だ
若冲が絵をかいて、それを石工が彫ったということである
恐らく、人間臭い表情豊かな石仏群であったに違いない
木々や竹の隙間から光が入ればきっといい絵(写真)が取れそうな気がしたが、写真もスケッチも禁止であった
今はホトトギスが庭を飾っている
蚊に食われますよと若き住職さんが団扇を貸してくれた
今は、前には住宅が迫り来ててこの山の裏手は京都市立の深草霊園でもある

今年は若冲の生誕300年になるということもあって京都では若冲のブームである
京都市美術館でも若冲展をやっている
若冲はここで晩年10年ほどを暮らした
今も石峯寺は静かである
そもそもバスや車で入ってこれるところでないのが救いである
若冲に無縁な小生の勝手な話であるが、あるがままそのままこのままであってほしいと思う

外国人が日本の文化に憧れる 
お寺にも神社にも押し寄せてきている
隣接する伏見稲荷の参道や境内は外国人ばかりである
外国の方が多いので日本の方にはスミマセンね、と言うたら差別になるらしい
そう思うとなおさらあるがままそのままこのままそっとしてほしいと思う
人気画家ではあったけれど若冲は奇抜すぎる自分の絵が世間に評価されるには1000年かかるだろうと予言して85歳で没した
しかし、それから200年で歴史はいとも簡単に若冲に光を当てている

そのことを墓の中の若冲は知らないのである
喜んでいるとは限らない
そっとしておいてほしいというのはそういうことでもある
若冲が最後に選んだ五百羅漢とは仏陀の弟子である、インドから中国を経てはるばる日本に来た聖者である
思えば大勢の外国人でもある
日本の国はいつもそういう合理的矛盾を抱えている国だと思ってしまう
小生、芸術論を語っているつもりはない
写真は若冲の墓
鯵庵(10.17)


by ajiankyoto | 2016-10-17 06:28 | 京都の水 | Comments(0)