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焼き物も日常/京焼の馥郁窯

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このシーズン、京都市民も観光客の一人にならなければならない
佛の話はほっとけとばかり、お寺はお庭の紅葉を見せて拝観料をとる
そんなことをブツブツ言いながら仁和寺へ来た
その境内で馥郁窯(ふくいくがま)のMさんに再会した

Mさんは春と秋にここで自分の作品を並べて売っている
焼き物区別では清水焼である
が、清水焼の窯元は、昔の五条坂界隈から山科や宇治へ越してしまっている
村上さんはその炭山西の谷というところに自分の工房を持っている
京焼や清水焼と言っても誰にでも分かるような形がある訳ではないとのこと
作家それぞれが土を見て形を考え、自分のアイデンティティーで作陶している
焼き物は明らかに芸術ではあるが・・、陶器は日用品でもある、そうでなければ誰も買わない

宇治の炭山にはそれでも数十軒の京焼の作陶家が窯を開いているという
市内からであれば山科の奥である
それなら右京のこの仁和寺まで、道のりにして1時間を軽く超える
思えば・・
作ることと売ることと両方しなければならないことは大変なことである
その上外国の人にも受けなくてはならない
伝統工芸士の看板も漢字が分かる人にはわかるのだが
それだけでは売れないかもしれない
みんなに使ってもらいたい陶器を目指している馥郁窯である
困ったことに暮らしぶりが違うと必要な器(うつわ)が違う
と言うことは、ここで店を出すなら、土産もんになる陶器も焼かなければならない
売る方のMさんの気持ちと作る方のMさんの気持ちに少し差があるかもしれないが、それも当然ことである

何万、何百万円もするような焼き物を作っている芸術家も京都には何人もいる
そんな人は今更、売るための努力はしなくていいだろう
仮に京都の暮らし方があったとしたら、その暮らし方にあったものが京都の焼き物だろう
やはり京都は京都の人の町でもある
小生らが買えるものも作らなければならない、それが器の宿命かもしれない
その宿命に乗って、今日はビール用、軽くて手持ちのいい形の焼き物を手に入れた
今日から使える、自分の暮らしにあった焼き物が一番だ
紅葉だとて、毎年の日常の一つでもある
今日は京都の観光客の一人である小生でもある
仁和寺も好きである、だが仁和寺の東隣にある蓮華寺(れんげじ)の日常と変わらない仏空間と紅葉も好きである
鯵庵(28.11.23)




by ajiankyoto | 2021-12-01 06:02 | ハロー・ワーク | Comments(0)