鬼平の老い(鬼平犯科帳)

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テレビで「鬼平犯科帳」が始まったのは昭和44年(1969)、鬼平は最も鬼平らしい松本幸四郎だった
それが丹波哲郎になり、中村錦之助になり、今は幸四郎の次男二代目中村吉右衛門になった
今は、とは言ったけれど吉右衛門鬼平になって28年になるということである
テレビのシリーズは平成13年に終わっているが、なかなか毎年スペシャル版で続いている
予告によるとこの冬に最後の放映になるということだ

実在の鬼平こと長谷川平蔵は8年も火盗改メの職を続け数え年50歳の時に亡くなった
活躍は40代の時である
二代目吉右衛門は今や人間国宝であるし、齢72歳である
小生、吉右衛門鬼平に関しては見逃すまいと再放送、再々放送を見ている
原作者池波正太郎に何度も声をかけられても、吉右衛門がなかなか鬼平を演じなかったのは小説の味と歴史上の人物その実年齢を気にしていたという
だからこそ、今から15年前、平成13年(2001)にレギュラーシリーズを終えている

富士真奈美が最初に演じたおまさも、吉右衛門と一緒に梶芽衣子になった
これも4代目である
小生らにとっては梶芽衣子は日活の「女囚さそり」の印象が強烈である
東映でも頑張っていたが、鬼平のおまさで息が長くなってしまった
役どころでは30過ぎである、少し色が黒いが黒くてぱっちりとした目とおちょぼ口が特徴の江戸の女である
良く似合っていた、そのおまさであるが・・
おまさも歳をとるが、梶芽衣子も歳をとる
大河ドラマとちっがって役どころとしては、その後28年は限界を超えてしまった

木村忠吾の古今亭志ん朝は吉右衛門とは共演していない
吉右衛門と一緒に始めた相模の彦十、3代目の江戸屋猫八はもう15年の前に亡くなっている
ここまで人気番組になったら仕方ないかもしれないが
適役役者が死んだり年をとってしまっては仕方がない
再放送を見ていて、作品の年代はおまさを見ればわかる
鬼平では本当におまさは主役なのである
梶芽衣子のファンとしてはかえって辛くなってくる
「女という生きものは、みな一色のようでいて、これが違う。女に男なみの仕事をさせたときにちがってくるのだ」
と鬼平は言うが

吉右衛門は早くから辞めたいと言ってたようだ
舞台ならともかく画面いっぱいに老いが映るテレビドラマではそうだろう
当時の40代はもはや初老だったというけれど今の初老とはやはり違う
懐メロだって、いつまでも出来るものではない
ゴルゴ13と同じ顔をした劇画が存在するだけでも嫌だったのに
今度、いかれたテレビアニメも来年から始まるという
男盛りに働いて死んだ鬼平を描きたかった池波正太郎が生きていたらこんなことにはならなかったのに・・
再放送も小説もこれからも読めるのだから、精一杯ここらでいいのではないか
吉右衛門シリーズの江戸風景は全て京都と京都近郊ロケだった
写真は平成4年頃放送の鬼平とおまさ「夜鷹殺し」から
開始4、5年後、おまさが熟し一番きれいだったころ
鯵庵(11.29)

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by ajiankyoto | 2016-11-29 07:29 | 翁草 | Comments(0)