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昔、招福巻で出てました


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文化には香りが必要だと思う
節分と言うのは新しい年に向けて邪気を払うという素朴な信仰を基にしている。
邪気は鬼であり、福を招くというのは当たり前の気持ちである
節分の行事の基本は豆まきであり、柊(ひいらぎ)の枝と鰯(いわし)の頭は厄(やく)払いである
室町時代から続く風習である
長く続くといえ基本は素朴な庶民の生活感がそこにある
ご馳走は巻きずしでも十分であり、それでもハレの気分を感じる人は多い
昭和の時代になって巻きずし業者は、同じ巻きずしでも節分のそれを〝幸運巻きずし″として広めていた
このあたりから文化の味わいが変わってくる

「招福巻(しょうふくまき)」と言う言葉なら、こちらの人なら記憶に新しいかもしれない
大阪の老舗のすし屋が節分の縁起を担いで考え出した巻きずしである
これに「招福巻」と名をつけ昭和63年(1988)商標登録した
節分とセットで招福巻と言う言葉は近辺のスーパーでもなじめる言葉になっていった
スーパー大手のジャスコが「十二単衣(じゅうにひとえ)の招福巻」と言うのを節分用の巻きずしとして売り出した
平成20年(2008)商標の侵害に関わる訴訟となった
結局、ジャスコ「十二単衣の招福巻」側が勝った
商標権の侵害にあたらないとの裁判所の判断だった
ジャスコが売り出したころには招福巻として既に普通名詞化している・・ということで登録商標であっても商標権の効力が及ばないという判断だった(2010確定)

登録商標は登録者が守らねばならないとされる
〝登録商標って何なのだろうか″と大阪の鮨屋はとっては結構やるせない思いだろう
たとえ普通名詞化されたとしても売り上げが上がればいい
またそうでなければジャスコも招福巻の名前を使わなかったろう
しかし、裁判で勝ったジャスコもその後もう招福巻は使ってない
登録商標を所有してても普通名詞並みであると公に認められたのではゴミ同様である
こちらも使わない
結局、「招福巻」は普通名詞になり損ねたまま、辞書にも載ることはない
一方「恵方巻」は、グーグル検索でも溢れているし、辞書にも載っている
これこそもっと早い目に商標登録しておけば今頃面白かったのにと思ったりする
(この項続く・・かも)
鯵庵(1.18)



by ajiankyoto | 2017-01-18 06:58 | | Comments(0)