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「おためかえし」と「おためごかし」


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うちのばあさんがよく使う言葉に"おため"というのがある
平たく言えば贈り物やご祝儀をもらったときのお返しである
国語的には使いの者に駄賃を渡すことも言う
昔・・贈り物のお盆を返すときにその上に半紙を折って乗せてお礼の意味にした
これを"おため紙"というとある

お祝儀を持ってこられたら、まずその場で返すのが"おため"である
内祝いなどの返礼とは別のものである
駄賃以上の駄賃程度であるという
京の街中でもそれも少なくなってきた
形式的に残っているのは結婚祝いぐらいかもしれない
お祝いというのは事前に持参するのが礼である
その時に"とりあえずのお返し"が"おため"なのである、と説明されると分かりやすい
このあたりの話は結納品の店などで知ることが出来るこれを「おため返し」という

困っとことによく似た言葉に「おため倒(ごか)し」と言うのがある
この場合の"おため"も同じおためである
表面上は人のためになるように見せて実は自分の利益を図ることを言う
人々の律儀な暮らしとは反対側にあるようで・・実は日常はこちらが多い
世の中のことはほとんどがこちらである

人は自分のためにしか動かないし働かないのだ
それはいいのだが、今度は仕事だと言えば何でもする
代表的なのが営業マンだと言えば営業マンは怒るだろう
それが異質なのではない、経済活動というのはそう言うものなのだ
はっきりと会社のためにやっていると言った方がいい
自分のためだけにやっていると詐欺になってしまう
少なくともあなたの誠(まこと)度が分かるというものだ
"おため返し"がなくなった分まで"おため倒し"が増えている
しかし・・それでどうだということではない
こちらは自分で考えればいいのだ
写真はカブの花、地域野菜の代表である
ついでながらカブの種からもなたね油が取れるが今は利用されることはない
鯵庵(4.26)

by ajiankyoto | 2017-04-26 07:08 | 翁草 | Comments(0)