2017年 11月 21日
苔か鈴虫か・京都バス/市内バス事情④
京都は中国にある都市かと思うことばかりであるが、
晩秋の一日を京都で過ごせることはそれはそれで幸せなことである
京都バスの嵐山線は渡月橋の輻輳(ふくそう)をすり抜けて南下、
松尾大社から苔寺(西芳寺)・すず虫寺(華厳寺)へ向かう
ここまで来れば日本の風景が少し戻ってくる
バス終点の前にある二軒の茶店はしきりに休憩を勧めてくれる
名物はとろろ蕎麦(そば)だ、隣は苔寺(西芳寺)である
門前茶屋の女将さんが気を使ってしゃべっている
苔寺は"京都の云々"の世界遺産の一つである
がしかし、思い立って急に行っても入れてもらえない
事前申し込みが必要なのだ
苔を見たいではなく、写経などしてもらいたいという
それも当たり前であるが、当たり前ゆえに拝観料も少し高くなった
苔寺は昔は京都・大阪あたりで不良若人のデートコースだった
苔の値打ちは分からなかったけど、苔など見たことのない都会人には値打ちがあった
しかしそれから、今から40年前(1977)に表門を閉めて今のようになった
もちろん、苔が痛むからだろう、手入れが大変なのは不良どもにもわかるほどきれいだった
だがしかし、若い人が禅宗の心に触れる機会はそれだけ減ったことにもなる
そこで浮かび上がったのが近所にある鈴虫の寺、同じ臨済宗の華厳寺だ
本堂で一年中鈴虫の声が聞ける寺としての人気にかけたのである
しかも、ご住職さんらの説法が上手い
鈴虫の音に禅を感じたことから飼育を始めたという・・
そこのところの説法は分からなくても、鈴虫の音は若い人にもアベックにも分かる
女性に人気のお寺に定着した訳である
ここもしかし、シルバー男性が一人で入れるような雰囲気ではない
苔寺も枯山水の庭だったと言われるが、何度も寺の前の川の水が出て荒廃していた
その所為もあってか、苔に覆われるようになったという
昭和になって、庭園の一般公開を始めたのはその苔のおかげである
表も裏も閉めてしまえば分かり易かった
苔も鈴虫も宗教的動機になることは小生にもわかる
それぞれ古き謂れのある寺である
それを観光に持って行くにはまた別の努力が必要だろうと察せられる
宗教戦略なのか、それとも観光戦略なのか小生には区別がつかない
やがて年中鈴虫の声と外国語の説法が聞けるような寺になるかもしれない
が、かくして、ともかくも京都バスに「苔寺・すず虫寺」行路線も残されたことになる
まだ、地蔵院もある
そう、門前の茶店の"とろろそば"も残ったことになる
鯵庵(29.11.21)
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hirokazusazanami at 2017-11-21 22:14
そうですか。40年前から門を閉めたのですか。心字の池なんかあったように思いますが、50年ぐらい前に行ったままです。どんな苔の庭だったのか記憶にありません。。
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at 2017-11-22 12:03
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
by ajiankyoto
| 2017-11-21 16:56
| 路線バス
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Comments(2)