2018年 07月 27日
六道珍皇寺の迎え鐘/京都の盆の過ごし方
バス停で言えば「清水道」が近い
その道を逆に西へ少し坂を下るように進む道が松原通である
この道は清水寺への参道でもある
松原通は平安京の五条通(その延長も)の現在名である
東大路通(清水道バス停)から少し下った北側に門があるのが六道珍皇寺である
この六道珍皇寺は、都から来れば平安京の葬送の地鳥辺野への入り口である
ここを「六道の辻」という、これから先は冥界なのである
この六道珍皇寺の創建は極めて古いしまた謎が多いが、その中で平安京の役人(最後は参議にもなった)小野篁(おのたかむら)との関わりが面白いここには小野篁が地獄へ通ったという井戸がある
京都の盆の行事は精霊(せいれい、しょうりょうであるが"おしょうらい"と読む)を迎えることから始まる
ここを通って行った精霊は帰ってくるなら同じ道を帰ってくると言う素朴な信仰である
そのために地獄まで届く筈の迎え鐘を打つ
地蔵尊に高野槙で水供養した水塔婆を備える
主催者は地蔵菩薩(閻魔大王)である
閻魔大王は地蔵菩薩の化身であると言える
お盆の行事は地獄信仰の行事である
極楽や天国から帰ってくるのではない
死者は誰もが地獄の責めを負いながらいつまでも輪廻しているのだ
極楽を見て来た人はいない
だが地獄なら一人、小野篁がいる
いや、お盆には全ての精霊が帰ってくる
地獄の話に耳を傾けなければならない
京都の人が皆、千本えんま堂や六道珍皇寺へこぞって迎え鐘をうちに行くように書く京都案内は大きな誤解の元である
敢えてことわっておきたい
正月に比べると、お盆は俗っぽさを喜ぶのである
お盆になれば地獄の釜の蓋も開くと言うのだ
自分の大切な人がまだ地獄にいるかもしれないと思わせられる
鯵庵(30.7.27)