2018年 07月 31日
陶器か磁器か/京都の盆の過ごし方
陶器祭りから北へ少し歩くと六原に至り六波羅蜜寺の前を通って以前に書いた幽霊飴の店から松原通りに出る
あの世とこの世の境にあるのが六道珍皇寺(ろくどうちんのうじ)である
生きることと死ぬことを繰り返すのが輪廻転生(りんねてんしょう)
その流転(るてん)する道が六道(ろくどう)
現実には生きることと死ぬことの分岐点でもある
都を出て鳥辺野(とりべの)へ向かう道筋に置き換えこのあたりを六道の辻という
都の住人は遺骸をここまで運ばれてきて来て、あるものは土に埋められ
あるいは打ち捨てられて貴賤にかかわらずいずれも土と水に戻っていく
これから先は野辺(のべ)の地、冥土(めいど)、冥界(めいかい)である
この松原通(昔の五条通だった)からこの葬送の地への入り口にある寺である
お盆とは、盂蘭盆会(うらぼんえ)のこと、仏事である
先祖の霊や新しくなくなった人の精霊が帰ってくると言うので、送ったところまで迎えに来るわけである
それが迎え鐘である、たいてい8月の7日に始って10日まで、その間地獄に届けと鐘を打つ(引く)人で縁日のように賑わう
何のことはない、陶器祭りもその日に合わせて行われている
五条坂は清水焼の窯元が多く、陶器祭りは全国の個性的な窯元数百店が両側に並ぶ
京阪五条から五条坂大谷本廟の前まで・・そういうことで、拙者も毎年客になり往復約1キロ汗をふきふきあるく
もちろん実用品しか見ない
ここで買った陶器には精霊がついてくると言う人もいる
日本人は陶器が好きだ、焼き物の美しさは造形美である、造形ゆえに壊れやすい
実用品の陶器なら10年も割れることなく使えたらそれでいいだろう
と言うのは、結婚9年が陶器婚式(とうきこんしき)で20年は磁器婚式(じきこんしき)と言うようだ
20年を陶器婚式ともいう場合もある
陶器や磁器にとって一番怖いのは夫婦喧嘩である
が、仕舞っておってもしょうがない、せいぜいすり減るまで使って割れたら仕方がない
その時は新しいものを買いにまた五条坂へ来ればいい
その時新しい精霊も一緒に持ってかえればいい
磁器婚式くらいなら二度出来る人もいるだろう
どっちみち最後は新しい陶器(骨壺)にお世話にならなくてはならない
お盆の話題である
ホウズキの色がつきだした
南の空に大接近中の火星を見ることができる
鯵庵(30.7.31)
by ajiankyoto
| 2018-07-31 20:03
| 地蔵菩薩
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