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葬式のレール(17)地獄への道

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そもそも、家族こそが一番故人のことを知っていないこともある
5年も10年も病気してたら、おかしくなって家族に迷惑かけたことだけしか思い出せない
とても、皆が言うほど厳しかった人とはとても思えない・・なんてことになる
サラリーマンだって金貸しだって仕事の成果は評価されるが仕事の癖は正しく評価されることはない
葬式は誰のためにあるのかと言えば、残された者のためにあった時代もある
喪主の社会的地位が葬儀を作る
自分の親がどんな親だったのか説明できないこともあった

テレビドラマのように単純でない、しかしドラマほど複雑でもない
例えば、ただの女好きだったと言われるほど単純な生き方をした人は存在しない
家族葬ではもはやそれも必要ない、親は単に親である、子は単に子である
家族が集まって遺品整理の話ばかりしておけばいい
それは世の常、家族葬の寂しさでもある

人の人生は毀誉褒貶(きよほうへん)である
世の中ちゅうものは生きてる人間がみんな集まって都合よいように作ったものである
世間は右と左、上と下、白と黒、・・本物と偽物、正と邪、・・
反対と思えば似たものばかりで自分と他人の区別も分からない
世間のことを世間が裁くのが浮世たるゆえんである
しかし地獄は現世の資産や地位を認めてくれない上に極端に公平な世界だ
閻魔だけが評価する?誰もが通らなければならないのが地獄の門である

現世浮世の嘘は通じない
地獄でこそ始めて裁かれ、また地獄で始めて救われる人もいるだろう
そのことを知って生きている者こそ英雄である
死後のことは天に任せばいいし、自分の身は閻魔に任せるしかない
閻魔に裁かれても心配するな、地獄の責め苦はない
それが火葬だと信じるのがいい、もう既に身は焼かれている
鯵庵(30.6.16)

by ajiankyoto | 2021-04-18 16:00 | 葬式のレール | Comments(0)