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葬式のレール⒄看取り



家族の一番の喜びは誕生である
家族の一番の悲しみは死別である
しかし家族はいにしえより生と死を家族の歴史としていた
孫の誕生を祝っていた祖父母の死を見て大人になっていく
大切な人との別れは人生で最も相手に対してに感情や愛情を感じる場面である
それが「死別」である

"死別の場所”についての国の統計がある
日本の場合、病院(老人保健施設を含む)が8割を超える
残りの半分である1割が自宅である・・・が、「老人ホーム」が増加し自宅が減少している
しかも、病院の比率は増加するだろう
それは、また、「人生の最終段階における医療のあり方」の問題でもある
いい医者は必ず本人と向き合って医療を決めてくれる
延命措置の詳細を家族に問うたところで、家族が本人の気持ちを推定して代弁できることはあり得ない
そのことを本当は医者は知っている筈だ
病院での家族の看取りはそのことの難しさを包含している

ひょっとしたら、過ごしやすい施設に入っても同じことかもしれない
そんな身分の人ですら家族と一緒に暮らしていた鬱陶しさに気づくものである
残された家族も同じことを感じることになるだろう
が、それはその人の家族の歴史から言えば最後の章である
その一瞬だけのことを言う「看取り」という言葉は現代の実態を捕えていない
施設から直接葬儀会場に遺体は運ばれる
親と子が祖父母と孫が再会するのは葬儀会場になる
施設や病院での記憶しかない残ってないとしたら家族の不幸である
鯵庵(30.11.26)


by ajiankyoto | 2018-11-28 14:39 | 地蔵菩薩 | Comments(0)