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草餅の頃(平成31年)


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どんこ氏からの草餅と便りが届いた
田舎暮らしもこの時期は忙しいという
田舎では、桃の節句を月遅れで祝う
月遅れだと4月の3日になる
因みに旧暦だと今年は4月の7日になる
4月の8日は花まつりでお寺の行事もある
入学式もあるし、学校も始まった
花まつりも学校も新暦である

農業は太陽暦(新暦)で行動をするので、サクラが目安だ
しかもこのあたりは開花予想の埒外である
おかげで桃とサクラが一緒に咲く
行事は月遅れ、旧暦、新暦織り交ぜである
二十四節気では晴明(4月4日)の気候である
ヨモギもツクシも摘むのに丁度いい
ということで、桃の節句は「草餅の節句」とも言われるぐらい草餅がつきものである

草餅は昔はハハコグサだったとあるが、今はほぼヨモギである
ヨモギは薬草の山伊吹山で有名である
漢方の生薬であるし、もぐさの材料でもあるということで、色だけでなく、邪気を払うために餅にも入れた
草餅もいろんな食べ方がある
子供にあんころ餅、大人は焼いてお湯につけてきな粉をまぶして食うというのもあった
どんこ氏の奥さんは今でもちゃんと餡を炊ける

街中にある丹波屋でもいつでも草餅も売っている、結構うまい
京都桂橋のたもとの有名和菓子屋のよもぎあんころは、やわらかいよもぎ餅を粒餡で包んでいる
こうすると高級和菓子になるから不思議だ
高級感が一杯になると餅をついたことのない世代がいつも行列している
それはそれでいい・・自然のものと一緒に暮らすのは鄙(ひな)の心である
ヨモギを摘んで、臼で餅を搗くこと自体が邪気を払うのである

都市では何でも得られる、食生活が豊かになってきたのはいいとしても、食い物に祈りを託すことは出来なくなってきた
新学年の始まる子供に節句のよもぎ餅を食わしてやろうという気持ちは我々の世代が壊してしまったのかもしれない
子供にも大人にも一番おいしいのは愛と祈りをつき込んだ餅に限る・・筈だ
桃の花の咲くころが草餅の一番おいしい時期だ・・
鯵庵(31.4.12)

by ajiankyoto | 2019-04-12 08:46 | 家族 | Comments(0)