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憎まれてこそ世にはばかる?


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この頃街中を歩くと同年輩によく出合う
都会は今はガードマンの時代だ、道路工事に限らずパチンコ屋でもスーパーでもお寺でもそこらじゅうガードマンである
よく見ると、それこそ同年輩が多い
ヘルメットをかぶって少し顔も汚れているが、手入れされた髭の似合う紳士が多いことに驚く
この世代ではガードマンの仕事につけるのはエリート的存在なのだ

同年配の輩(やから)とは昭和20年前後から20年代の生まれというところ
帽子をかぶってリュックを背負って、いかにも街中をぶらぶらしている
もちろん結構いいものを着ている
まー恐らく定年を暫く過ぎて、しかも、仕事は何もしていない
広義で言えば団塊の世代とも言う
団塊の世代はそもそもその言葉が嫌いだけれど、それに代わる有効な単語がない
小生もその仲間だというのに、そんなぶらぶらしているオッサンを見るとこの頃鬱陶しい(うっとうしい)と思ってしまう

昼飯にさる中華屋に入って驚いたことがある
一人でビールや酒を呑んで中華を食っている人に挟まれたことがある
夜勤明けの労働者でないのは誰にでもわかる、それがまた同年輩である
カウンターで両側に大食漢の同年輩に挟まれると席の幅は狭い
必要以上にゆっくり食事する様子はそしり食いの様であった
たとえそれがデカダンスであったとしても・・・
客の若きサラリーマンやあるいは安い時間給で働く店員から見てどう見えるのだろうか


朝から一日街歩きの文化人風老人、昼間からビールで食らう今は遊び人風老人
その他にも、株屋の前で数字の掲示板を見つめて一日過ごす人もいる
この頃のメーデーやデモで大多数を占める元気な老人たち、これ皆街で出あう同年輩である
いずれにしろつい数年前まで都市の経済を支え会社の中で必死で働いて来た人であろう

"憎まれ者世にはばかる"という言葉がある
実は"憎まれてこそ世にはばかる"というのが正しいのではないか?
今もって世にはばかる輩も、今頃になって世にはばかる輩も同じである

その人それぞれの実際の境遇や懐具合はそこからは何も見えやしない
ただ、若い人の目から見れば腹立たしく感じるかもしれないと、この頃思っている

現在(いま)も違う以上に、過去も違う、もっとそれ以上に先のことも違うだろう
ただ、間違いなく、同じような人生(老後)を暮らすことはないように思う
家族にも社会にも何の役割もなくはばかるその姿のまま、あと何年暮らさねばならないのだろうか
ここまで来て犯罪者に転落する人間もいる
不幸でもないのに人を羨ましく思って暮らすのは嫌だ
やはり不健康で長生き出来ない人もいるだろうし、長生きしたとしたら一人で施設で暮らしているかもしれない
何か絡まっているように見えるけど碇(いかり)ほどのものじゃない
60歳を過ぎればアンカーのない小舟なのだ
おそらくイソップ童話の結果とはきっと違うだろうけど、それが誰にも本人にも分からない

のが人生なのだと、思えてくる
鯵庵(1.5.8)

by ajiankyoto | 2019-05-08 08:41 | 往生 | Comments(0)