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精霊送り

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紅蜀葵(コウショッキと読む)
新切鰺
この色は明らかに血の色である

いかに招いた霊でも長く一緒に暮らす訳にはいかない
今は京都のお盆の観光は「五山の送り火」が代表する形になった
午後8時に東山銀閣寺の上の如意が岳の大文字が点火される
「妙法」「船形」「左大文字」続いて、一番西の奥嵯峨野の「鳥居形」が点火されるのが8時20分ごろになる
そのころはもう最初の大文字は消えかかっている
大文字が見えるのはいつも一瞬なのだ

昔(旧暦の頃)の送り火は天気がよければ必ず満月とセットである
山の陰の黒と群青の空の色は明らかに違う
月と大文字と精霊流しの灯りを一緒に見ることのできた昔の人の感慨は想像できない
月遅れで行われるお盆の行事では毎年8月16日の月齢は変わる
この時間に東山に上手く月がかかることの方が珍しくなったのだが・・
今年の8月16日は旧暦での7月16日に当たる
しかも月齢15日(正午)で完全な満月である


この一瞬の静寂ゆえに、俗っぽい京都のお盆もこの日だけは侘しさを感じさせられる
五山の火を全て楽しめるのは難しいが、それでも数十分だ
テレビ中継ではそれぞれの火床の周りの人が映し出される
その人たちにとっては行(ぎょう)なんだと思う
そうなんだ、それもまた精霊を送る送り火なんだと思わされる
全ての火が消えてしまって京都のお盆が終わる
地上には現に生きている人だけのまた迷い多き生活が始まる
地獄はこの世だと言うところから始まるのがお盆の信仰である

鯵庵(1.8.14)

by ajiankyoto | 2019-08-14 19:34 | | Comments(0)