男を食うしかない

男が、自分が男だと言ってはあぶない
「男はつらいよ」なんて言っておれない
女の方がつらいのだから
女のつらさを知ってやるのが男であり
それだからこそ男はつらいよなのである
映画「男はつらいよ」も40作後半に入ると寅次郎を演じる俳優にも疲れが見えだす
寅の妹さくらの息子である満男が大人になって寅の二世として出番が増える

一シーンである
好きになってくれたからと言って女性の元に長居すべきではない
満男「伯父さんは楽しい人だから最初はいいよ、あの人も幸せかもしれないけど、
伯父さんは楽しいだけで奥行きがないから1年もすれば結局飽きてしまう
伯父さんはよく知っているのだ、だから・・」
ということで一緒に長く暮らすことを選択しないのが寅次郎だと解説する
それゆえに男はつらいよ、なのである
その満男が憧れる泉と上手く行かないのは泉を演じる女優の演技が下手なせいではない
まだ女のつらさを分からないのである
寅次郎はそれを知っている
もっともっと男が好きにならなければ一緒になってもすぐに不幸になる
フラれているのではないのだけど・・
長続きが苦手な自分の性（しょう）を知ってしまうと切なくつらくなる
のが寅次郎の恋なのである？

女性を主役においたら歌謡曲になる
自分が不幸になってもそんな男を見捨てられないというのは刹那的な情緒の世界だ
空威張りの不甲斐ない男ばかりだから・・
一人でいても男についていってもやはり女の方がつらい気がする
寅さんのシリーズも40作を越えればほぼ最終回である
結論は男に食われるくらいならいっそう男を食うしかない・・？
鯵庵（3.2.23）