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葬式のレール(20)葬殮(そうれん・その2)

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数十年前までは土葬だったところも多い
私は子供の頃、祖父の棺桶を運ぶ葬送の列をうろ覚えに覚えている
村の人が皆出てきてお祭りのように賑やかなものだった
葬式は葬殮(そうれん)とも言う
当時、臨終から葬送・埋葬一連の行事が葬殮だった
埋葬前に僧侶のお経に皆が合掌した
実はこの部分が儀式化されたのが告別式である
告別式という言葉は葬儀場で実施する必要から発展してきた
だから葬儀社では「葬儀並びに告別式」と区別を意識して表現する場合もある
葬儀は「家族のもの」、告別式は「皆のもの」と便宜的に区別している
その区別すらなくなりつつある

家族葬は「皆のもの」が省略されて、「家族のもの」という意味である
その家族のものを突き詰めていって通夜も葬儀も省略していくといわゆる直葬(じきそう)になる
そうなれば家族すらいない場合もあり得る
火葬許可書をもった人が火葬場に行けば受け付けてくれる
依頼すれば火葬場で僧侶の資格を持った人がお経(引導)をくれる
だから、「火葬式」と葬儀屋は言う
それが人によっては葬殮(そうれん)の全てになる

究極、葬式とは火葬のことなのである
火葬だけが人の死の儀式だとすると我々は一体何の儀式に参列しているのだろうか
今、多くの人がそのことを考えようとしている
鯵庵(3.4.24)

by ajiankyoto | 2021-04-24 17:56 | 葬式のレール | Comments(0)