人気ブログランキング | 話題のタグを見る

葬式のレール(21)焼却炉

葬式のレール(21)焼却炉_b0355451_17405059.jpg
式場から霊柩車で火葬場に炉の前に運ばれる
足元から耐火シャッターのうちに入れられ扉が閉じられる
化粧扉が閉じられ、職員が恭しく宣告する
合掌して・・
それが点火の合図になる
喪主が点火のボタンを押す演出がある
足元先端部のバーナーの火が最初に柩(ひつぎ)に回ってくる

ロストル式焼却炉は火床(ロストル)の下に受け皿煉瓦がある
骨(灰)は受け皿に落ちる
少し冷却の時間をおいて受け皿煉瓦を引き出す
頭蓋骨と腕や脚の骨の形が残っている
磁石で金属を除去して参列者が骨壺に収骨する・・
この間、90分くらいである
ロストルというのは火がよく燃えるように炉やストーブの下部に設けた鉄製の火格子のこと
柩(ひつぎ)はこの格子の上に乗るので下からも炎が回る理屈である

実はこの方式は全国では少なく、京都市ではこの方式を採用している
ほぼ全国の焼却炉は台車式というもので骨受皿の上に直接棺を載せて炉に入れる
柩の下から火が回ることはないので少し時間はかかるが遺骨がキレイという

昔インドで荼毘にふされた釈迦の遺骨をカメに入れて供養した
後、骨を分けて各国に配った、これを仏舎利という
我が国の火葬は遺骨を大事にする仏教の風習に基づいているという
火葬は仏になる最初にして最大のステップである
生まれて初めて魂は肉体を離れて気化する
我々が炉の形式を選べないが、そんなことは気にする必要はない
新しい焼却炉であればどちらの炉の形体であっても1時間半くらいである
いずれにしても仕上がりを見ることができる
そのための職員の焼却技術は生半可なものではない・・・ということだ

遺骨は喪主と参列者によって収骨される
遺骨の所有権は斎祀継承者(多くの場合これを喪主という)に帰属する
火葬場から言うと
遺骨の全てを引き渡す火葬場は関東地方に多く、全部収骨という
部分引き渡しは関西地方に多い、部分収骨という
"葬式のレール"から言えば
いずれにしろ遺骨は申請者(喪主)が引き取らなくてはならない

・・のは当然の流れではあるが、
ここまで来て、引き取り手のない不幸な遺骨も多く存在する
死して後も市役所のお世話になるということになる
鯵庵(3.4.26)

by ajiankyoto | 2021-04-26 09:20 | 葬式のレール | Comments(0)