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銅心先生に再会

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ピカピカの銅線を編んでいく
市井の工芸師、埋もれた工芸師、無欲の工芸師、貧乏工芸師、時代遅れの工芸師・・・・
店をやっているわけでもないし、その風采はカスミを食って生きている行者のようでもある
時々わざと貧しき風采をして托鉢に出てくる京都のボンさんよりは仏に近い
世俗そのものなのだがその世俗から孤高の人である、だからどう表現しても当たらない
大雨が降らない限りここで朝から夕方まで座り込んでいる
気に入った人にはあるもんだけ売るし、目の前で作品を待って買ってかえる人もいる

私は”市内引きずり徘徊・・”を自己紹介に書いている
だが、ここ2年はコロナの影響もあって多くの人と疎遠になっている
高齢の銅心先生が正直まさかあれからずっとここで同じように・・銅線を編んでいるとは思わなかった
私は驚いてその傍に座り込んでしまった
コロナもオリンピックも何も関係なかった人がいる
ただ、この間、京都以外から来てでも話していく人はいなくなってしまったという
が、それすら関係ないという
頭がボケるか手先が動かなるまでは今の生き方、暮らしを続けるという
ボケても手先が動くなら続けると書いとくで、と言ったらどうでも書いとけという返事だ

ここは実は琵琶湖疏水が鴨川と交わるところだ
ごうごうと疏水の水が流れる
疏水の水は大都市京都の命の水だがその本流は宇治川に吐かれるまでまだ仕事をする
だからここが琵琶湖疏水の聖地
毎日その水音を聞きに自転車でここへ来るというのだ
冷泉通りは人通りの少ない通りである

本当の京都の人は京都の名前を使わない
「鯵庵の京都事情」などと言ってる私の頭の上がらないわけがそこにある

今回は写真も載せるで、と言っといた
どう書いてもかまわんという
わざわざ人に見つけられないところに来る
売り上げで自分で出来るだけの銅線だけを買う

名前はただの「銅心」、生き方はただの「工芸師」
紹介するのはそれだけである
鯵庵(3.8.11)


by ajiankyoto | 2021-08-11 19:31 | 京都の水 | Comments(0)