2021年 12月 09日
瓶割り小僧(かめわりこぞう)
前回(「ちびたチョーク/鉛筆は削られるもの」)に使ったカット写真をもう一度使う、こんなことは初めてである
池波正太郎の鬼平シリーズに「瓶割り小僧」というのがある
小さな時から悪知恵で大人をからかってきた小僧が大人になっても性悪な盗賊になっていた
悪にはいろいろあるが子供時代から世間ずれしていた悪である
こんな大きな瓶を持って帰れるかと大人に言われて瓶を割ってしまった
割ってなら持って帰れるという浅知恵を披露したのである
鬼平に子供時代の小賢しい姿を見られていてついに本性を見破られるストーリーだ
本性は変わってない哀しさである
大きな瓶に水がいっぱい
その瓶に遊んでいた子供達がはまる
もちろん子供では助けることができない
そこで知恵ある子供が大きな石を瓶にぶつけて
瓶を割って水と共に子供を救う
こちらは中国の司馬温公の作品や故事にある
瓶の中でおぼれる子供達を救うにはこの方法しかないのである
例え値打ちのある瓶だとしても適切な措置である
危機管理だと私が言うのがこのストーリーである
戦国時代柴田勝家がろう城の際水に困ってないことを敵に見せるために
最後の水が残っている瓶を割って見せたという話もある
柴田勝家は瓶割り柴田の異名を持つ
これは最後の武略である
いずれにしても水も大瓶も貴重なものであろう
目的がなければ瓶を割る訳にはいかない
瓶割小僧は迷わずに瓶を割った
国民が瓶の中で溺れるこの時期に瓶を割ることができるのは政治家だけである
結局誰も瓶を割ることは出来なかった
新しいリーダーが選ばれるにしても瓶を割ってまで国民を救ってくれる人はいないかも
勇気をもってマネして小さな壺(つぼ)を割ったら・・
出てきたのはまた給付金やGOTOプランだったりしたのではまた同じ繰り返しだ
鯵庵(3.9.3)