人気ブログランキング | 話題のタグを見る

鉛筆は禿びるもの

鉛筆は禿びるもの_b0355451_20293257.jpg
今日の題は国語の問題を兼ねる
禿  はげると読んだ人はまあまあ
この場合は「ちびる」である

閑話休題(それはさておき)
使えば使うほど短くなる、減ることの見える筆記用具だ
削りついでに頭の方も削って、両方とも尖らせた
誰でも一度や二度は経験あることだ
それを「貧乏削り」というらしい

もちろん子供時分にはそんなこと知らなかった
今になって思えば
両端を使ったからと言って2倍使えるわけではない
残る芯の長さはほぼ同じだからもうかった訳ではない
新しい鉛筆を削ってしまうのがもったいなかった
そんな気がしただけかもしれない
だから「貧乏削り」と言われたのかもしれない

貧乏(びんぼう)は必ずしも貧困(ひんこん)ではない
国民が等しく貧乏だった
鉛筆は結構高かったのである
鉛筆を買うこともためらったのが貧困である
両方削るのはむしろ剛毅なものである

何よりも教育投資が家庭には負担だったのである
今は・・・行きたくもない大学に行かそうとする親ばかりになった
そんな親を育てた世代は貧乏からの脱出が人生の重大事だったのだ
子供の成績は投資に比例することを知ってしまった
貧乏だけど貧乏削りまでは考えなくてよかった
経済的豊かさは人の心を貧しくするというのは世間のセオリーである
何十年の積み重ねで、国民等しく貧乏に戻った気がする
幸福感が
禿(ち)びた
鯵庵(3.9.18)



by ajiankyoto | 2021-09-18 20:00 | 翁草 | Comments(0)