2023年 04月 04日
(29)自立からはじまる②
前項から続く
認知症の進行に伴って介護度が上がっていく
認知症の周辺行動が起きるようになると家族も疲弊する
そこまでいけば要介護3より以上と言うレベルかもしれない
家族が仕事を辞めてさえ難しくなる
特別養護老人ホームを申し込むがいつ入所できるかわからない
さりとて介護付き有料老人ホームですら受け入れてくれないこともある
福祉の枠の中に居なければ(言い換えれば役所の目の届く中に居なければ・・・????)
一歩間違えば孤立もあるし、行き倒れることもあるし、自殺もある
究極、終点に向かって一気に走りだす時が来る
私たちはいつもその一歩手前にあると考えるべきだと・・彼Bは言う
事あるごとに面白いことを言うパート仲間の彼Bである
「自分が乗っている電車が分からない」のが老後だと言う
だから、終着駅がどこか、何処を走っているのかも、何時着くのかもわからない
普通列車か急行かもわからないのでは?
そうや、区間急行と言うのがあったやろ
今まで鈍行だったのがある駅から急にスピードを上げ急行になる!!
要介護が進むと一気に進むものだと言う
車内の乗客も窓の外の風景も
今までとはまるっきり違うものになっているのにその時気づく
彼B氏の母はビックルするほど端麗な京女だった
ケガをして5年、認知症を発症してやっと施設に入った
その後2年で自分の息子が分からなくなった、という
私の母は大手術をして命の代わりに片足を根本から失った
最後の1年は病院のベッドで動けなかった
ベッドの上で騒ぐかあきらめるかどちらかだと言った
そのまま最後まで何も言わずに死んだ
私たちにとっては親の死に方は自分の死に方なのだ
おひとりさんも自立の一人旅なら、何処へでも行きたいと思えば行ける
来たバスに乗ろうと、乗りたい電車にも乗れる
が、戻れない
老後自立とはそういうことだ
もっと言えば
自立しているうちでないと乗り換えも出来ないと知るべき
あなたの電車は今どこを走っている?
鯵庵(R5.4.4)