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(31)介護の遺伝子②恍惚の人から50年

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(前項から続く、今回も少し長くなるかもしれない)
当時、親の介護は家族ゆえの仕事であり、
人間の長寿しかも幸せな長寿社会を支えていたのである
親孝行の最後は親の介護である
介護の機会を与えられたことに子供として感謝しなければならないと本気で言われた
そうでなくても、家族の皆が祖父母や父母の介護に関わってきたと言うことだ

もう一度言うとその時の平均寿命、男性69歳、女性74歳で65歳以上の人口は7%だったと言う
その小説「恍惚の人」から50年、長寿が一世代分進んだかもしれない
寿命70歳までが80~90歳までになってしまった
なんとあの頃の平均寿命に達した私に
90歳を超えた父母を介護する番が回ってきているのである
それが現代の介護、高年齢化した介護の問題なのである

父や母の闘病生活や介護は本人も家族も経験のないことだった
私達夫婦の50代60代はまだ基礎体力があった
親にも自分らにも最良の方法を考えてきた
私の場合は老後ではあるが介護はまだ不要だ
子供は老後イコール介護ではないと信じている
事情は様々だとしても核家族や子育てやら・・
家族の単位が小さくなりまた家族が遠くなってしまっている
すでに子供の世話にはならないで暮らしたいと決めている

身近に介護のことを考える機会がないと介護が自分の問題だと気づかない
課題が生じてもすぐに有料老人ホームしか浮かばないと言うことになる
その上、あえてその商業主義に乗る
元気だと入院も施設もそれなりに暮らせる
そんなパンフレットを見て思い込もうとする
ベッドから立ち上がるところから他人の手を借りなければならない
恍惚状態とは限らない、凶暴であったりする
それでも介護を受けなければならない
介護とは何処までも家族に代わって行うことなのである

真摯に仕事する出来のいい介護職員はそのことを知っている
それなのに家族の方が分かっていない言うのが世間なのだ
介護の遺伝子を持っていないと、言うのはそのことだ
「おじいさんはこんなにまでしてまだ生きたいのだろうか」
と言う小説「恍惚の人」の孫のセリフは現代でもそのまま当てはまる
資金力のない祖父母や親はもともと頼りにもならない
その親が認知症ゆえの問題行動をおこすようになったとき
ついに・・それを言うかもしれない
家族に介護の遺伝子がなくなっているからだ
本当はそのことを言いたい
・・・・・
次項に続く
鯵庵(R5.4.8)

by ajiankyoto | 2023-04-08 08:46 | 昼寝の夢占い | Comments(0)