スーツが私服なんだよ

就職活動で着ていたスーツをリクルートスーツと言う、らしい
定義はないけれど業界では安物の画一的なスーツと言うことになるらしい
長い間着れるようなものではないと言うことだ
同じスーツを新入社員が着ていてもリクルートスーツと言う？
かと言うと、ただの安物のスーツと言うことになる

昔の話の例えであるが、
高校野球でプロに行くことが決まった子が記者会見で学生服を着ている
入社式までの正装は学生服なのだ
契約金をたくさん貰える人があえてそういう格好するところに意味がある
春になれば新しい仕事と新しい衣装が待っている

そう思えば・・ペラペラのスーツを着て就活し
入社式が終わればスーツを着ることもないと言うのがかわいそうになってくる
それなら最初から常着で堂々と自分の生き方を訴えればいい
がそうはいかない、それでは会社の面接に通らない
そんな会社なら行かなくてもいいと思うが
この際生活のためには世間と会社に従順な羊（ひつじ）であると言わなければならない

かくして、就職してしばらくして会社に失望する
そんな自分を採用してくれた会社に失望すると言う矛盾にぶつかる
社会人になって一番先に感じる矛盾だ
入社式と研修期間が過ぎたらそもそもスーツもいらなくなる
その2番目の大きな矛盾に気が付いたとき本当に会社を辞めたくなるらしい・・
その一方で会社はいつも求人広告を出している

よさこいの学生たちは非日常の衣装を楽しんでいる
同じように街にはレンタル着物があふれてる
どうせペラペラのスーツを着た正社員はすぐに辞めてしまう
去年は3人だったが1人しか残らなかった
今年も3人、今までスーツで研修、おととい入社式だった
サクラ散りはてた後の入社式もカンが狂うし、
入社式にはなぜか私服で来いとなったらしい

私服って何か？どうしたらいいかわからなかったと愚痴っている
これからが試験なんだよ、と言ってやりたかったが
何を着ても私服、一層のことリクルートスーツでかましたら？
年寄りパートは昔ウールの背広を着ていたものばかり
そう言って、新人を茶化しながら鼓舞もする
うちの会社は生まれたばかりの羊が背広を脱いだ狼を使いまわすようなもの
そりゃもともと無理だわ・・・・
今年もまた夏までに辞める人が出てきそうだ
背広もレンタルでいいのかもしれない
鯵庵(R5.4.12)