2023年 05月 14日
(35)墓があっても
ジョークにしてはインパクトがある名文句だと思う
肉体は火葬したら、それで終わる
各地の自治体の条例では、もちろん火葬後すぐに遺骨は引き取られるものとなっている
わが京都市も慣習は部分収骨である
そのことではない
火葬は法律に基づくが・・・火葬場で遺骨を受け取らない
そんなこともあり得る
仮に明確な哲学であったとしても、それを実行するのは無理がある
だが、世間は広い、一方でお骨を引き取った人がそれで困るというのもの現実である
ずっと骨壺と一緒に暮らしているというのも多くあるが、今はまだ心なき行為と言われる
と言うことで、遺骨でお地蔵さんやアクセサリーにしてくれる業者もいる
遺骨は墓におさめられなければならない
としたら、確かに行くべきところに行かないのは成仏できないことになる
だから、石屋が言うように「墓がないとはかない」ということにもなる
しかし、墓がなければその悩ましき束縛から逃れられるというのも本当だと思う
「墓がなくても」人間の生存の証に不足はないという考え方もあってもいい
人間が死を前にして生きる苦しさを救うのも宗教だろうし、
そのために形式を決め粛々と儀式を行うのも宗教である
一昼夜休むことなく多くの人が薪をくべながら荼毘に付した時代もある
三代前は土葬だったのが、貴賤の区別なく焼却炉で火葬という埋葬方法がやっと定着したのである
数十分で苦しむことなく、肉体(有機物)が灰(無機物)になる
ということを受け入れられるのなら・・肉体は気体となり宙に帰っている
遺骨は灰であり既に成仏していると考える方が自然である
私はこの方が自然であると考える
今の葬儀の宗教感はまだ庶民の土葬の域を出ていない
肉体と灰の間に自分を置いてこそ、存在を考えられるかもしれない
有機物から無機物になる、個体から気体になるというほうが魂のことを考えやすい
魂を見つけられなくなった時の儀式の場が墓である
それがただの儀式なのかどうかはあなた自身が考えればいいことだと思う
鯵庵(R5.5.14)
by ajiankyoto
| 2023-05-14 11:32
| 昼寝の夢占い
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